磨き上げたクオリティで勝負する。鹿児島のクラフトチョコレート〈kiitos〉
鹿児島県鹿屋市に北欧デザインのような色使いのパッケージと、美味しくて品質も高いチョコレートが自慢の「kiitos(キートス)」というチョコレートファクトリーがあります。
海に一番近い小学校と呼ばれていた「鹿屋市立菅原小学校」をリノベーションした「ユクサおおすみ海の学校」という体験型宿泊施設があり、旧菅原小学校時代に給食室として使われていた場所がkiitosの工房です。
ちなみにこの施設、大隅半島の鹿児島湾側にあるのですが、校舎が本当に海のすぐそばに建っていて空からの写真を見てビックリしました。
kiitosのチョコレートは、鹿児島の象徴でもある「桜島」をモチーフにしたフォルムと、色とりどりの絵がなんともキュートなパッと目を引くパッケージ。
見た目の可愛らしさもさることながら、品質にもとってもこだわって作られた”ビーントゥーバー”のチョコレートなんです。
ビーントゥーバーとはカカオ豆からチョコレートができるまでの全工程を管理・ 製造するチョコレートの製法のことで、kiitosでもこのスタイルを採用しています。
ビーントゥーバーで作るkiitosの工房では‥
使用するカカオ豆は、世界中の様々な農園のものを試して、自分たちが美味しいと感じたもの、栽培方法がわかっているものなどを基準に選ばれています。
そこからさらに豆の状態で質の良いものだけを選別し、焙煎、粉砕した後、カカオの実と殻を分けます。
次にピンセットを使いカカオ豆のうす皮を取り除く作業を2〜3回行います。
この丁寧な下処理の後が、ようやく私たちが想像するチョコレート作りの場面。コンチング(練る工程)やテンパリング(温度調節)といった、いくつかの工程を経てやっと美味しいチョコレートが出来上がります。
relie’sで取り扱っているkiitosのチョコレートのカカオ豆
ここで、私たちがセレクトしたチョコレートをちょっとご紹介。
トリニダードトバゴ オルティノーラ
東京ドーム約60個分の広大な敷地を持つオルティノーラ農園で育てられたカカオ豆。清水が湧き出る恵まれた環境で有機栽培され、収穫後は木箱で発酵した後、天日乾燥で大切に育てられています。
リパブリックオブ コスタリカ
イトイ・セレレ生物保護区の大自然の中で収穫されたカカオ豆。生産者は主にバナナによる収入で生活をしているため、カカオは副収入源として小規模な収穫を行なっています。バナナの単一農園に囲まれた場所にある数百を超える小さなカカオ農園から集められました。
ペルー グランチリリケ
ペルー北西部、山の中腹にあるチリリケという小さな村の小規模農家で穫れたペルー固有種のカカオ豆。高品質な上、オーガニック認証・フェアトレード認証も取得しており、苦味が少なくフローラル感が引き立つ特別な味わいを持つ希少なホワイトカカオを含みます。
どのカカオ豆も、目を閉じると大自然の中でたくましく育つカカオの樹が浮かんできますよね。
それぞれの味の特徴は、各商品ページで紹介していますので、ぜひそちらも覗いてみてください。
材料がシンプルだからこそ!カカオ本来の豊かな味わい
kiitosのチョコレートは、原材料が厳選したカカオ豆と有機きび砂糖のみで、どれも70%以上のハイカカオチョコレート。
どの種類も、ビターな風味と甘さ・酸味などが調和して、産地ごとに異なる濃厚なカカオの風味が口の中いっぱいに広がります。
それぞれのカカオ豆が持つ本来の味と香りを引き出せるよう試行錯誤を重ねてきたのだそう。
2つの材料だけでできたシンプルなチョコレートだけあって、それぞれのカカオ豆が持つ個性をダイレクトに感じられます。
障がいを持つ人たちの”働きたい”を叶える場所
実は、kiitosの母体は障がいを持つ人たちの就労支援に取り組むNPO法人Lanka(就労継続支援B型事業所 特定営利活動法人 Lanka)なんです。
その施設が活動の一つとしてオリジナル商品の制作に挑戦したのがビーントゥーバーのチョコレートでした。
立ち上げ当初は、パッケージに使うイラストの創作、カカオ豆の選別、出来上がったチョコレートの包装など、チョコレート製造以外の簡単な作業に参加してもらっていたのだそう。
それから、ゆっくりゆっくり時間をかけてチョコレート製造のノウハウをレクチャーし、今ではチョコレート製造の全ての工程をメンバーの皆さんにお任せできるようになったそうです。
集中力がある人は黙々とピンセットでカカオの皮を取り除いてもらい、正確さに長けている人は計量や時間を計るお仕事を。
チョコレート製造以外でも、絵が上手な人はパッケージの絵を描いてもらい、作業が丁寧な人はできたチョコレートをきれいに包んでもらう。
工程の多いチョコレート製造では一つひとつの作業で必要なスキルが異なるため、自然とメンバーそれぞれの特性に合った作業に就いてもらえる形になっていったようです。
「Lanka」という名前はフィンランド語で”糸”という意味で”様々な個性の糸と糸を紡いでできた一本の糸は切れない”という信念が込められています。
一人ひとりの才能を合わせてすごく美味しいチョコレートを作っているkiitosは、Lankaの信念そのものですね。
そして「kiitos」は”ありがとう”という意味を持つフィンランドの言葉で、生産者、仲間たち、お客様など全ての人への感謝の気持ちを名前にしたのだそうです。
ハンディキャップがあるからという妥協は一切しない
kiitosには”障がいのある人たちが作ったチョコレートではなく、一般市場で勝負できるホンモノのクラフトチョコレートを作っている”というプライドがあります。
パッケージ用にメンバーが創作した絵は、外部のデザイナーを交えて、見た人が手にとりたくなるようなデザインにブラッシュアップするのだそう。
福祉施設が作っているものだから‥といった妥協はせず、お客様へ自信を持って手渡しできるようなビーントゥバーチョコレートを生み出し、クオリティに見合った適正価格をつけ、製品価値を守る姿勢を貫いています。
チョコレート作りに生きがいを感じ、美味しいといってもらえることが誇りになっているメンバーも多いのだとか。
それって、もう職人さんですよね。
みんなを笑顔にするチョコレート
今日ご紹介した鹿児島のチョコレートファクトリーでは、メンバーそれぞれの得意分野を活かして、今日も美しいパッケージで彩られた本格的なビーントゥーバーチョコレートが誕生しています。
kiitosのチョコレートには「福祉」という堅いイメージはありません。
ポップなデザインの美味しいチョコレートの背景に、活動の信念が込められているのです。
全国のチョコレートファンの間で人気を集める、こだわりとストーリーもたくさん詰まったメイド・イン鹿児島のチョコレートkiitos。
きっとあなたも、一口食べれば思わず笑顔になりますよ。